日経平均が2日連続6万円台か、AI・半導体需要で

Image:日本経済新聞
4月27日の東京株式市場で、日経平均株価が史上初めて終値として6万円台に乗せた。終値は前週末比821円18銭(1.4%)高の6万537円36銭で、23日の取引時間中に一時6万円を上回ったが、終値での大台突破は史上初となった。その翌28日(火)、同水準を2日連続で維持できるかが市場の焦点となっている。上昇を支えるのは、依然としてAI(人工知能)と半導体関連銘柄への旺盛な買いだ。

「フィジカルAI」が新たな買い材料に

27日の上昇は、AI・半導体関連銘柄への資金流入が続くなか、前週末に好決算を発表したファナックなど「フィジカルAI」銘柄への買いが相場を押し上げた。フィジカルAIとは、工場の産業用ロボットや自律走行機械などに組み込まれた物理的な制御AIを指す概念で、生成AIを中心とするソフトウェア系の銘柄群に次ぐ新たなテーマとして投資家の注目を集めている。

23日の取引では、ソフトバンクグループが9.6%高、ルネサスエレクトロニクスが8.7%高、キオクシアホールディングスが5.4%高を記録した。AI・半導体関連各社の決算で需要の強さが確認され、成長期待を深めた投資家の資金が流入した。

半導体株高の起点は米国だ。米上場の主要銘柄でつくるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は連日最高値圏で推移している。米国では半導体株の出遅れ組とみられていたインテルが、先週24日(金)に今期2026年4〜6月期の売上高が市場予想を大きく上回る強気見通しを発表し、前週末比20.5%高と急騰した。この好決算が日本の半導体株にも波及し、市場全体の押し上げ要因となった。

世界半導体売上が「著増」、メモリー価格は半年で4倍

この上昇劇の根底にあるのは、文字通り爆発的な世界半導体需要の拡大だ。世界半導体統計(WSTS)のデータによると、2026年1月の前年比増加率は58.3%、2月は86.1%と著増となっている。日本以外のアジア太平洋は同89.8%、米国は同99.1%に達しており、日本以外の地域で半導体売上が急増している状況だ。

この背景には、生成AIの利用増加によるデータセンター需要の高まりがある。特に半導体メモリー価格の急騰が顕著で、DRAMやNANDの価格は2025年の10〜12月から急上昇し、半年間で4倍に達したとも言われている。データセンター需要によってメモリー供給が逼迫し、生産能力が追いつかないことがこの価格急騰の背景だ。

こうした動きの中で、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は3月末のボトムから4月22日までに実に38.7%もリバウンドした。同期間の日経平均株価は15.8%の上昇にとどまっており、日本株がAI本流の米国株に引っ張られながらも上値余地を残している形だ。

3月の急落から一転、4月に8000円超の回復

日経平均は2月末に米国とイスラエルがイランを攻撃して以降、軟調な展開が続いた。石油輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖やそれに伴う資源価格の高止まりが警戒されたためで、3月の下落幅は史上最大となり、3月末には5万1000円台まで下落した。

その後、4月に入って中東情勢の緊張が緩むとの見方が強まると、成長期待の大きいAIや半導体関連を中心に世界的に株価が上昇に転じた。日本株はアドバンテストやキオクシアホールディングス、太陽誘電、古河電気工業などがけん引役となり、3月末からの上昇幅は約8000円という急ピッチの展開となった。

この急騰を支えているのは海外投資家のマネーだ。日本取引所グループの売買統計によると、2026年3月の委託売買に占める海外投資家の売買シェアは68%に達しており、米AIへの需要期待が高まると日本株のリバウンドに直結しやすい構造となっている。

今週はGAFAM決算が試金石

市場関係者が次の注目材料として挙げるのが、今週本格化するGAFAM各社の決算だ。AIデータセンター向けの過剰投資懸念で株価が停滞しているGAFAMのなかでも特に注目されるのはマイクロソフトで、AIサービスの収益化が遅れているとみなされ、2026年に入って前年末比12%も株価が下落している。マイクロソフトがインテルのように市場予想を上回る決算を発表できれば、AI関連の出遅れ組にも見直し買いが広がり、日経平均の6万円台固めに弾みがつく可能性がある。

今週はAI半導体関連以外の企業でも、電気機器、機械、卸売業、証券、電力・ガスなど幅広いセクターが2026年3月期決算を発表する予定で、重要なのは前期の結果よりも今期2027年3月期の業績見通しだ。中東での戦争とホルムズ海峡の事実上の封鎖が上場企業の今後の業績にどれほど悪影響を与えるかはいまだ未知数で、AI半導体株以外の企業の今期見通しが全体相場回復の試金石になりそうだ。

過熱感と先高観が交錯

急ピッチな上昇に対する警戒感も根強い。23日も朝方に6万円台をつけた後は利益確定目的の売りが膨らみ、日経平均は下げに転じる場面があった。前日比の下げ幅が900円を超す局面もあった。

今後の半導体需要の持続性を疑問視する声もある。半導体メモリーの価格上昇が長く続けば、やがて需要側が着いてこれなくなる状況が生じかねず、価格上昇が需給バランスを悪化させる可能性も指摘されている。また、2026年の世界経済は原油高騰によって徐々に企業収益が侵食されていく展開も想定される。

それでも、生成AIのスーパーサイクルが続くとの見方は根強い。2022年11月のChatGPT公開以降、AIは異例のスピードで進化を続け新たな需要を開拓してきた。世界半導体売上のサイクルは2022年以前は3〜4年周期でアップダウンを繰り返してきたが、2022年以降は一貫した拡大過程に移行しており、これをスーパーサイクルと呼ぶ専門家もいる。

28日の東京市場では、前日の大台固めが本物かどうかを見極める展開が続く。アドバンテストなど主要な半導体関連銘柄の決算も今週中に相次ぐ予定で、業績の裏付けが確認できれば6万円台が単なる通過点に過ぎなかったと評価される可能性もある。一方、GAFAM決算が失望を誘えば一時的な調整も否定できない。AI・半導体が主役の相場は、好決算という実績の積み重ねとともに次の段階を模索している。

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