Roundhill Memory ETF、4月登場以降90%アップ。AI需要によるメモリ値上がりによるものか

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今年4月に鳴り物入りで登場した「Roundhill Memory ETF」(ティッカーシンボル:DRAM)が、上場からわずか数週間で驚異的な上昇率を記録している。AIインフラ整備の加速に伴うメモリ半導体の需要爆発を背景に、このファンドは2026年を代表するテーマ型ETFとして市場の注目を集め続けている。

Roundhill Memory ETFとは?

Roundhill Memory ETF(ティッカー:DRAM)は、2026年4月2日に米国で上場した世界初のメモリ半導体専業ETFだ。運用会社のRoundhill Investmentsは、AI時代における「メモリはAI革命のボトルネック」というテーゼのもとこのファンドを設計した。

投資対象は、DRAM・HBM(高帯域幅メモリ)・NANDフラッシュ・SSDなどのメモリ製品から売上の50%以上を得る企業に限定されている。上位3銘柄はSKハイニックス(約24%)、サムスン電子(約25%)、マイクロン・テクノロジー(約24%)で、この3社だけで運用資産の約73%を占める超集中型のポートフォリオだ。

なぜ急騰しているのか

AIの大規模言語モデルは膨大なメモリ帯域幅を必要とするが、HBMは製造効率が通常DRAMの3分の1程度しかない。マイクロソフトやグーグルといったハイパースケーラーが2026年分の供給を軒並み買い占め、5年規模の長期契約に契約総額の10〜30%を前払いする事態になっており、AI向けメモリの供給は構造的に逼迫している。

上場来の上昇率は報告時期によって差があるものの、5月中旬時点でおよそ78〜98%に達したとされ、AUMは上場10営業日で10億ドルを突破した。

リスクも大きい

一方で注意点もある。ポートフォリオが事実上「3銘柄パッケージ」に近く、メモリ業界は歴史的に景気サイクルへの感応度が高い。SKハイニックスとサムスンは韓国市場にのみ上場しており、米国の取引時間中はETFの価格がNAV(純資産価値)とかい離するリスクがある。経費率は年0.65%。

まとめると、AIインフラ整備に乗じたメモリ株へのピュアな投資手段として投資家に歓迎されているETFだが、高い集中度とサイクリカルな業界特性を踏まえた慎重な判断が求められる。

史上最速ペースで10億ドルを突破

Roundhill Memory ETFが米国市場に上場したのは2026年4月2日のことだ。Roundhill Investmentsが手がけるこのファンドは、米国初となるメモリ半導体専業のETFとして、CBOE BZXへの上場直後から空前の勢いで資金を集めた。
上場からわずか10営業日で運用資産残高(AUM)が10億ドルを突破し、その後25営業日で50億ドルに達したとされる。

SNS上では36日で65億ドルに到達したとも囁かれており、もし事実であればETF史上最速の資産積み上げ記録となる。1日平均の取引高は2億1300万ドルを超え、オプションも1日当たり1万1000枚超が取引されるなど、投資家の関心の高さが数字に如実に現れている。

肝心の価格パフォーマンスについては、報道された時期によって数値に幅があるものの、5月中旬の時点でMorningstarが78%弱の上昇率を記録したと伝えており、24/7 Wall Stは5月19日時点で約98%の上昇と報じた。5月11日前後には一時107%に達し、2倍以上に値上がりした局面もあった。最新の取引値は52ドル台前半で推移しており、52週高値の56.38ドルからは若干の調整が入っている格好だ。4月初旬のIPO付近の水準(26〜27ドル台)と比較すれば、記事執筆時点でほぼ倍増に近い水準にある。ファンドの経費率は年0.65%で、オプション取引も利用可能だ。

「DRAM」の名が示すポートフォリオ構成

ティッカーシンボルの「DRAM」は、メモリの主力製品である「Dynamic Random Access Memory(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)」に由来しており、ファンドの性格を端的に表している。Roundhillは、売上高または利益の50%以上がメモリ半導体の開発・製造に帰属する企業を「メモリ企業」と定義し、HBM(高帯域幅メモリ)、従来型DRAM、NAND型フラッシュメモリ、SSD、NOR型フラッシュ、ハードディスクドライブ(HDD)、特殊用途メモリなど幅広い製品カテゴリをカバーしている。

ポートフォリオはごく少数の銘柄に高度に集中している。運用資産の約73%を上位3銘柄、すなわちサムスン電子(約25%)、SKハイニックス(約24%)、マイクロン・テクノロジー(約24%)の3社が占めている。残りのポジションはキオクシア(5%)、サンディスク(5%)、ウエスタンデジタル(5%)、シーゲイト・テクノロジー(4%)、南亜科技(4%)、Winbond(2%)といったNAND・ストレージ系の企業で構成されている。地域別では韓国が49%、米国が38%を占め、台湾と日本が残りを補完する形となっている。韓国市場への偏重ぶりが際立っており、これが後述するリスク要因の一つにもなっている。

ファンドはアクティブ運用型で、四半期ごとのリバランスを想定している。また、RIC(被規制投資会社)の分散要件を満たすため、一部のポジションにはトータルリターン・スワップなどのデリバティブを活用している。

AIがメモリ市場を根底から変えた

このETFが急騰した背景には、AIインフラ整備が半導体市場の力学を根底から書き換えつつあるという構造的な変化がある。大規模言語モデルによる推論処理は、計算コアとメモリ間のデータ移動という制約に直面している。標準的なGDDRメモリではAIが要求する帯域幅を満たせないため、HBMが不可欠な部品として浮上してきた。

なかでもSKハイニックスはHBM市場でのシェアが60%を超えており、NVIDIAのAIアクセラレータ向けに12層HBM3Eを独占的に供給している。さらに、次世代規格HBM4に特化した新設工場への投資額は130億ドルに上るとされる。2026年第1四半期にはDRAM市場全体のシェアでも36%に達し、サムスン電子を抜いてトップに立ったと伝えられている。サムスンもNANDメモリ市場では4割超のシェアを持つ最大手であり、NAND市場全体をこの2社に米国のマイクロンが加わる3社体制が席巻している。マイクロンは2026年分のHBM供給全量をすでに売り切り済みと公表し、コンシューマー向けメモリ事業から撤退してエンタープライズ・AI向けに経営資源を集中させている。

HBMの製造効率にも注目すべき事実がある。AI向けHBM3Eの1ギガビット当たりに必要なシリコンウェーハの面積は、標準的なDDR5の約3倍に上る。次世代のHBM4ではその比率がさらに拡大する見込みだ。製造能力が物理的に限られている以上、HBMへの需要シフトは従来型メモリの供給を構造的に押し下げ、価格を押し上げる。HBM市場の潜在的な市場規模(TAM)は、2025年の約350億ドルから2028年には1000億ドルに達するという予測もある。

大手テクノロジー企業が前払いで供給を確保する異例事態

メモリ需要の逼迫を端的に示すのが、ハイパースケーラーと呼ばれる大手クラウド事業者による長期供給契約(LTA)の締結ラッシュだ。TrendForceの報道によれば、サムスン電子とSKハイニックスはマイクロソフト、グーグルなどとの契約を従来の1〜3年から3〜5年に延長する方向で交渉を進めており、場合によっては7年への延長オプションも俎上に上がっているという。

さらに異例なのが「前払い(プリペイメント)」条件の導入だ。契約総額の10〜30%を前払いさせる形での交渉が進んでいるとされ、業界関係者の間では「顧客が前払いを求められるようになれば、もはやメモリサイクルではなく、メモリの順番待ちになっている」という言葉が流布している。SKハイニックスはグーグルとの間でDDR5の5年供給契約を最終調整中であり、マイクロソフトとも数兆ウォン規模の3年DDR5長期契約の合意に近づいているとされる。

サーバー向けDRAMの契約価格はこうした需要を反映して急騰しており、TrendForceの試算ではDDR5の契約単価が2025年初めの約7ドルから19.50ドル前後へと跳ね上がった。Q1 2026のDRAM契約価格は前四半期比で90〜95%急騰したとの見方もある。また、HBM3Eの価格についてもサムスン・SKハイニックスが2026年向けに約20%の値上げを実施済みとChosunBizが伝えている。AIアクセラレータ1台に搭載されるHBM3Eのスタック数も増加の一途を辿っており、NVIDIAのB200では8スタック(合計コスト2400ドル以上)、グーグルの第7世代TPUは8スタック、アマゾンのTrainium3でも4スタックが搭載されるとされる。HBMはAIアクセラレータの製造原価全体の30〜40%を占めるまでになっており、ロジックダイのコストを上回るケースも出始めている。

大手クラウド事業者の設備投資(capex)は2026年に合計7000億ドルを超えると予測されており、その相当部分がメモリ調達に向かう。こうした構造的な需要を背景に、ETFへの資金流入は加速した。

集中リスクとサイクル懸念

ただし、市場関係者はこのETFのリスク面にも目を向け始めている。Morningstarは記事のなかで、ポートフォリオが10銘柄未満に絞り込まれており、上位3銘柄だけで純資産の75%以上を占める極端な集中投資であると指摘した。HBM・NAND市場の寡占構造がそのままETFの構造に反映されており、主要3銘柄のいずれかが大きく動けばファンド全体が追随する。さらに、3社はいずれも強固な競争優位性(経済的な堀)を持つとは言いがたい汎用品的なビジネスモデルであるとして、バリュエーション面での割高感を懸念している。

韓国市場固有のリスクも重要だ。韓国の取引所では個別銘柄の1日当たりの価格変動が最大30%に制限される仕組みとなっており、サムスンやSKハイニックスが前日比で大きく動いた場合、ニューヨーク市場で取引される米国上場のDRAM ETFがNAV(純資産価値)とかい離した水準で取引される事態が生じうる。

また、業界では「ETFのジンクス」と呼ばれる現象が知られており、ニッチなテーマ型ETFが上場したタイミングがサイクルのピークと重なりやすいという経験則がある。メモリ市場はGPU市場以上に景気サイクルへの感応度が高く、ハイパースケーラーの設備投資計画の見直し、HBM3Eの在庫積み上がり、あるいはAIモデルのメモリ効率化技術の登場があれば、主要3銘柄が同時に下押し圧力にさらされるリスクがある。さらに、米国市場では2倍レバレッジのサムスン・SKハイニックス連動ETFの組成が検討されているとも報じられており、小売投資家の熱狂が終盤に差し掛かっているとの見方も一部から出ている。Polymarketの予測市場では、年末までにAIバブルが崩壊する確率が26%と試算されているという報告もある。

メモリ株への投資アクセスを変えた意義

このETFが持つ本質的な意義のひとつは、米国の一般投資家にとって従来は難しかった韓国株への手軽なアクセスを提供した点だ。HBM生産の大半を担うSKハイニックスとサムスン電子はソウル取引所に上場しており、米国の個人投資家が直接保有するには為替リスクや取引の手続き上の障壁があった。マイクロン・テクノロジーは米国上場企業だが、DRAMの純粋なインデックスに近い形で3社まとめてパッケージ化した商品は存在しなかった。Roundhill Investments(2018年創設)はこの空白に目をつけ、世界初のメモリ株専業ETFとしてDRAMを市場に送り出した。その後の急速な資金流入は、投資家がこのニーズを切実に感じていたことを逆説的に証明している。

5月22日時点でのDRAMの終値は52.82ドルで、週間では若干の調整を挟みながらも上場来の高値圏を維持している。52週高値は56.38ドルで、最安値(26.14ドル)の倍以上となっている。AIによるメモリ需要の構造的な変化と超短期サイクル的な熱狂の双方を内包したこのETFが、今後もこのペースで上昇を続けるかどうかは、ハイパースケーラーの設備投資動向、HBM4量産の進展、そしてサムスン・SKハイニックスの次期決算が試金石となるだろう。

本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を意図するものではありません。

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