AppleからCADデータが流出か。「iPhoneFold」の形が明らかに

Image:Sonny Dickson
Appleが開発中とされる折りたたみスマートフォン「iPhone Fold」の設計データとみられる3D CADレンダリングファイルが、著名なリーカーによってX(旧Twitter)上に公開された。まだApple自身が一切公式コメントを出していない段階での流出だが、世界中のテックメディアが一斉に報じるほどの反響を呼んでいる。

流出の経緯__信頼性の高いリーカーが2枚の画像を投稿

今回の流出の発信源となったのは、Appleに関する情報を長年にわたって発信してきたリーカー「Sonny Dickson」だ。彼は日本時間の2026年3月9日、X上に2枚の画像を投稿した。画像にはiPhone Foldの背面と、折りたたんだ状態・展開した状態それぞれの外観が写し取られていた。

Sonny Dicksonは過去にも複数のApple製品のデザインをいち早く明かしてきた実績を持つ。9to5MacやAppleInsiderなど、Appleの取材に定評のある専門メディアも彼の過去のリークを「信頼性が高い」と評価している。ただし今回の投稿には寸法や内部スペックに関する追加説明は一切なく、ユーザーからの質問にも返答していない。

CADデータとは製品の設計情報を三次元で表したコンピュータ上のファイルで、通常はスマートフォンメーカーが量産の準備に入る段階でケースやアクセサリーのメーカーへと共有される。過去のiPhoneでも毎年春から夏にかけてこの時期にCADデータが流出し始める傾向があり、9to5Macは「iPhoneの設計ファイルが一貫してオンラインに出回り始める時期に合致している」と指摘した。

明らかになったデザインの全貌

流出した画像から読み取れる最も重要な特徴は、その「横長に開く」という折りたたみ方向だ。Samsung Galaxy Z Foldシリーズをはじめ、現在市場に出回っている大半のブックタイプ折りたたみスマートフォンは縦長(ポートレート)方向に展開する。一方、iPhone FoldはCADデータによれば横長(ランドスケープ)方向に開く設計とされており、開いた状態はまるで小さなタブレットのような外観を持つ。

この設計は、2025年12月にドイツのApple情報サイト「iPhone-Ticker.de」が初めて公開したCAD図面とも一致する。当時の図面では、折りたたんだ状態のサイズが幅120.6mm×高さ83.8mm×厚さ9.6mm、展開時には幅167.6mm×高さ120.6mm×厚さ4.8mmと記されていた。展開時の厚さ4.8mmは、現在市場にある折りたたみ端末の中でも最薄クラスに相当する。なお今回のSonny Dicksonによる流出では具体的な寸法は示されていない。

ディスプレイについては12月の流出データによれば、内側の折りたたみ画面は7.76インチで解像度は2713×1920、外側のカバーディスプレイは5.49インチで解像度は1422×2088とされている。内側の画面は縦横比が約1.41:1となり、他社の折りたたみ端末に多く見られる正方形に近い比率とは一線を画す。この比率はiPadアプリとの互換性を高める設計上の意図があるとみられており、GSMArenaはこの点について「縦横比の正規化を避けることで、標準的なiPadアプリをほぼ修正なしで動作させられる可能性がある」と解説している(ただしこれはGSMArena自身の推測だと明示されている)。

カメラとフレームの構造

今回の3D CADレンダリングで明確に確認できる特徴のひとつが、背面のカメラ配置だ。カメラはiPhone Airで採用されたような横長の「カメラプラトー(台座状の突起)」にまとめられており、2つのレンズとフラッシュが横並びに搭載されている。これは従来のiPhoneシリーズで見られた正方形のカメラバンプとは大きく異なるデザインだ。

本体の形状にも注目すべき点がある。通常のスマートフォンは四隅がすべて丸みを帯びているが、iPhone FoldのCADデータでは2つのコーナーは丸く、残り2つのコーナーはヒンジ(折りたたみ機構)を収めるために直角に近い形状となっている。これは折りたたみ機構の物理的な要件から生じたデザイン上の制約とみられる。

インナーディスプレイ上の前面カメラについては、画像の左上付近に小さなドットが確認でき、アンダーディスプレイカメラ(画面下に埋め込まれた自撮りカメラ)の配置を示唆している。カバーディスプレイ側はパンチホール式のカメラが採用されると考えられている。

カラーについては、Sonny Dicksonが公開したCADデータが2色のレンダリングで描かれているものの、これは製品の最終的な仕上げカラーを示すものではないとAppleInsiderは指摘した。また以前の別の流出では「カメラプラトー部分はボディカラーと異なるオールブラック仕上げになる」とする情報があったが、今回のレンダリングはその点と食い違う可能性があると同メディアは補足している。

「iPadに似た体験」という方向性

横長展開という設計の背景には、AppleがiPadとの親和性を重視している可能性がある。展開時の内側画面は約7.76インチとiPad miniに近いサイズとされており、Phandroidは「ポケットに収まるiPad mini体験」と表現した。横長に開くことで、既存のiPadアプリがそのまま表示できる可能性が高まるほか、動画コンテンツを視聴する際のアスペクト比の無駄も少なくなる。

Digital Trendsは今回のCADレンダリングについて、「これまで流れてきた折りたたみiPhoneに関する噂と符合する内容だ」と評価した。iClarifiedは内部スペックとして、iPhone 18 ProシリーズとチップやRAMを共有する可能性を示す情報も伝えているが、これはCADデータとは別ルートのリーク情報であり確認はとれていない。

懐疑的な視点も「供給網からの実物リークがない」

一連の流出情報に対し、AppleInsiderは慎重な評価を示している。同メディアは2026年2月時点での分析記事の中で、「iPhone 17 AirやiPhone 16シリーズのリリース前には、製造モールドや実機相当のモックアップ、詳細な寸法図などが大量に流出してきた。iPhone Foldについては、それに相当する『サプライチェーン由来の物証』がほとんど出てきていない」と指摘した。

この見解に基づけば、Sonny DicksonのCADレンダリングを含む今回の流出情報は、量産体制に入った設計データではなく、EVT(エンジニアリングバリデーションテスト)段階のプロトタイプ情報、あるいは既出の噂をもとに再構成された図面である可能性も否定できない。AppleInsiderは「これらのCADは噂となっているスペックをベースに作成されたものかもしれない」という留保も付け加えている。

Sonny Dickson自身も今回の画像に関してコメントをいっさい公開しておらず、真偽の確認を求める声にも応じていないことが、余計に判断を難しくしている。

発売時期と今後の見通し

現時点での業界の見通しとしては、iPhone Foldは2026年9月の発表・発売が有力視されている。これはAppleが毎年秋に行うiPhone新製品のイベントに合わせた時期だ。ただしAppleInsiderが指摘するように、折りたたみiPhoneは少なくとも2019年以降「今年こそ発売か」という観測が繰り返されてきた経緯があり、過去の期待が毎回外れてきた事実も踏まえる必要がある。

今後数か月以内に、製造モールドや実機のモックアップ、部品単体の写真といった「供給網由来の物証」が登場してくれば、2026年の発売に向けた準備が本格化していると判断できる。逆にそれらが一向に出てこないようであれば、発売延期の可能性も視野に入れるべきだろう。

AppleはiPhone Foldについて、現時点で一切のコメントを発表していない。

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